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    【スリランカ観光】聖地キャンディのモデルコース

    スリランカ中部の山々に囲まれたキャンディは、シンハラ王朝最後の都として栄えた古都です。1815年にキャンディ王国が終焉を迎えるまで、海岸部を支配したヨーロッパ勢力に対して長く独立を保ち、独自の宮廷文化と仏教信仰を守ってきました。王権の象徴だった仏歯を祀る仏歯寺は、現在もスリランカ各地から参拝者が集まる聖地であり、旧王宮を含む市街地は「聖地キャンディ」として世界遺産に登録されています。

    キャンディ観光のモデルコースでは、仏歯寺と旧王宮を軸に、キャンディ湖、市街地、展望台、文化施設、キャンディアンダンスを組み合わせます。観光名所の数だけを増やすのではなく、シンハラ王朝の歴史、仏歯に対する信仰、湖畔に残る王都の景観、中央高地で受け継がれてきた舞踊まで順番に見ていくと、キャンディがスリランカを代表する古都となった背景が自然に見えてきます。


    目次

    キャンディ観光は仏歯寺の時間で決める

    キャンディの1日モデルコースを考える際は、最初に仏歯寺のプージャをどの時間帯に見るか決めます。仏歯寺では毎日、朝、午前、夕方の3回、仏歯に食事や花などを奉納する儀礼が行われています。スリランカでは「テーワワ」と呼ばれますが、日本人旅行者にはプージャの名で知られています。通常の参拝時間にも寺院内部を見学できますが、太鼓の演奏とともに仏歯を納めた部屋の扉が開かれるプージャの時間帯には、多くの参拝者が白い花を手に集まり、観光地とは異なる仏歯寺本来の姿が表れます。

    キャンディアンダンスも夕方に上演されるため、午前のプージャを見てから旧王宮、キャンディ湖、市街地、展望台、博物館を巡り、舞踊公演のあとに夕方のプージャを訪ねる順番がまとまります。朝と夕方では寺院の雰囲気が異なり、午前は建築や壁画をゆっくり見られ、夕方は太鼓、献花、灯りに包まれた儀礼を見られます。肩と膝が隠れる服装を選び、帽子と履物を所定の場所に預け、仏像や仏歯を納めた部屋に背を向けて写真を撮らないことも、仏教寺院を訪問する際の基本です。


    午前は旧王宮と仏歯寺を巡る

    午前は、仏歯寺と旧王宮が並ぶキャンディ王国の中枢部から観光を始めます。仏歯は仏教徒にとって釈迦の遺骨にあたる聖遺物であると同時に、その仏歯を守る者こそが国を治める正統な王であると考えられてきました。王都が移されるたびに仏歯も移され、最後に安置されたのがキャンディです。そのため、寺院と王宮は別々の観光名所ではなく、王権と仏教信仰が一体となっていた時代を示す建築群として見る必要があります。

    旧王宮には、王の居館だったマハ・ワサラ、王妃や宮廷女性が暮らしたパッレ・ワハラ、王が家臣や外国使節と面会した謁見殿マグル・マドゥワなどが残っています。仏歯寺では、白い外壁と赤い屋根、精緻な木彫りを施した柱、象牙や金属を用いた装飾、八角形のパッティリップワなど、キャンディ建築を代表する意匠が見られます。プージャの際に参拝者が祈りを捧げるのは、仏歯そのものではなく、複数の金色の容器に守られた仏歯の安置室です。寺院内の壁画や奉納品、仏教に関する展示にも目を向けると、キャンディ王国が仏歯をどのように守り、国家の象徴として扱ってきたのかが伝わります。


    キャンディ湖と市街地を歩く

    仏歯寺を参拝したあとは、寺院の南側に広がるキャンディ湖に沿って市街地を歩きます。キャンディ湖は、最後の王スリ・ウィクラマ・ラジャシンハが19世紀初頭に造らせた人工湖で、シンハラ語では「乳の海」を意味するキリ・ムフダと呼ばれています。湖岸には雲をかたどった白い壁が続き、三角形の開口部には祭礼の際に灯火が置かれました。湖上の小島は王宮の女性たちが休息した場所と伝えられ、仏歯寺に近い湖岸には王妃の水浴施設だったウルパンゲも残っています。

    湖畔から市街地に向かうと、植民地時代の外観を残すホテルや商店街、時計塔、中央市場が続きます。仏歯寺周辺の静かな境内から、市民が買い物や食事をする地区に景色が変わり、聖地と地方都市が隣り合うキャンディの日常が見えてきます。昼食には、米と数種類の料理を組み合わせたスリランカのライス・アンド・カリーが合います。野菜、豆、魚、鶏肉などの料理が少量ずつ添えられ、店ごとに香辛料の配合や辛さが異なるため、キャンディ市内でスリランカ料理を味わう機会にもなります。


    午後は展望台と文化施設を訪ねる

    午後はキャンディ湖の南側にある高台に上り、キャンディ・ビューポイントから市街地を眺めます。湖の北側には仏歯寺と旧王宮がまとまり、その周囲を商店街、住宅、緑の山々が囲んでいます。午前中に歩いた場所を高台から見渡すと、王宮と仏歯寺を中心として造られた旧都の配置がよくわかります。湖面を軸に寺院、市街地、山並みが重なる景観は、キャンディが世界遺産の聖地であると同時に、現在も人々が暮らす都市であることを伝えています。



    その後は国立博物館などの文化施設を訪ねます。キャンディ国立博物館は、旧王宮の一部だったパッレ・ワハラを利用しており、建物そのものにも宮廷の面影が残っています。館内にはキャンディ王国時代の武器、宝飾品、衣服、生活用具、祭礼で使用された品々が収蔵され、1815年にキャンディ王国がイギリスの支配下となった時代に関する資料も展示されています。午前に王宮建築と仏歯寺を見たあとで博物館を訪ねると、建物、宗教、王宮生活が個別の知識ではなく、1つの王国を形づくった文化として捉えられます。


    夕方のプージャとキャンディアンダンスで締めくくる

    夕方はキャンディアンダンスを鑑賞します。キャンディアンダンスはスリランカ中央高地で受け継がれてきた伝統舞踊で、銀色の胸飾りと冠を身につけたヴェス・ダンス、動物や自然を表現するワンナム、ゲタ・ベラと呼ばれる太鼓の演奏、火を使った演目などで構成されます。舞台公演として紹介されることが多いものの、その原型は寺院の祭礼、王宮行事、病気や災いを祓う儀礼にあります。毎年夏に開催されるエサラ・ペラヘラでも、踊り手と太鼓奏者は仏歯を奉じる行列の主要な役割を担っています。

    公演のあとは、夕方のプージャに合わせて再び仏歯寺を訪ねます。境内には白い服を着た参拝者が集まり、太鼓が鳴るなかで新しい花や飲み物が奉納されます。午前に建築や歴史を見た同じ寺院が、夕方には現在も信仰が続く祈りの場として映ります。旧王宮、仏歯寺、キャンディ湖、市街地、展望台、博物館、キャンディアンダンスを巡るこのモデルコースなら、聖地キャンディの歴史と文化を1日の観光で幅広く知ることができます。


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